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Coup de Vent (クー・ド・ヴァン)

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2009.01
06
Category : 競馬
この馬は一言で言うと名馬である。
3歳時はクラシック路線を賑わしたものの、期待の大きさとは裏腹に、不甲斐なさが目立った。
ゲートをくぐるという離れ業をやってのけた上に大出遅れした弥生賞、控えて折り合いを欠き、惨敗したダービー、上村騎手が勝利を確信して追うのをやめたところをマチカネフクキタルに差された神戸新聞杯、鞍ズレもあり大敗したマイルCS・・・。
しかしながら、天皇賞・秋や、香港国際C(後の香港C)では猛烈なペースで飛ばしながらそこそこ粘ったりと、並の馬ではないところは見せていた。

そして翌年、バレンタインSを皮切りに、中山記念、小倉大賞典、金鯱賞、宝塚記念、毎日王冠と圧巻の6連勝。
逃げ馬というのは見ていてハラハラするものだが、4歳時のこの馬に関しては、そういった部分は全くなかった。
特に金鯱賞では後に香港国際Cを制するミッドナイトベット、未完の大器タイキエルドラド、前年の菊花賞馬マチカネフクキタルに、前年のマイルCS3着のトーヨーレインボーと、結構な面子が揃ったにもかかわらず、重賞ではまずお目にかかれない大差での圧勝(ちなみにクロフネの武蔵野Sは9馬身差、ゴールドアリュールのアンタレスSは8馬身差)。
毎日王冠では59キロを背負い、骨折休養明けのグラスワンダーはともかく、こちらも名馬中の名馬と言えるエルコンドルパサーを全く寄せ付けずに圧勝。
エルコンドルパサーがメンバー中最速の35.0で上がっているにもかかわらず、サイレンススズカ自身の上がりが35.1なのだからどうしようもない。
そして迎えた天皇賞・秋。
けぶるターフの中、引きつけて逃げた毎日王冠とは違い、最初から後続を大きく引き離しにかかったサイレンススズカ。
さすがにこれはどうなのかと思って見ていたら、大ケヤキを越えたあたりで故障、そのまま予後不良となった。
天皇賞の後はジャパンC、翌年はアメリカ遠征が予定されており、その類まれなスピードから、種牡馬としても相当に期待されていただけに、ボク自身も非常にショックを受けた。

以降、ボクはサイレンススズカの幻影に悩まされ、『栗毛の馬がよく見えて仕方ない症候群』に侵されることとなった。
とりわけ栗毛の逃げ、先行馬に弱く、クリスザブレイヴ、ローエングリン、ゴールドアリュール、ユートピアなどは入れ込んだものである。

さて、サイレンススズカというと爆発的なスピードという印象が強いが、武豊騎手に言わせれば、何よりもバテないスタミナが他の馬との一番の違いとのこと。
あんな非常識なペースで走れば、普通の馬ならまずバテる。
ところが、並外れた心臓を持っていたサイレンススズカは、バテることなくスピードを持続させることができたというのだ。
しかも、この馬は直線で再加速し、まさに『逃げて差す』という反則的な芸当ができ、武騎手曰く、2400mのジャパンCでも何ら問題がなかっただろうということだそうだ。
これが本当なら、それはもう恐ろしい話である。

何にせよ、この馬が子孫を残せなかったことが残念でならない。
ということで、甥のスズカドリームも死亡しており、半弟のラスカルスズカに、ささやかな期待がかかるが、繁殖の量、質からしてかなり苦しそうである(産駒の大半を永井啓弐オーナーが買い占めているが・・・)。
また、同じ一族の英ダービー馬Benny the Dipも大した産駒を残せずに死亡、その半弟クリプティックラスカルは日本に輸入されたものの、全くいいところなく大失敗に終わっている。
これらを踏まえると、天下のサンデーサイレンス産駒とはいえ、案外サイレンススズカは種牡馬としては・・・という気にもなるが、どうだろう?
もちろん、今となっては知る由もない。

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